インタビュー:木原一彦さん
木原 一彦
1954年、東京麻布生まれ。旅行会社など様々な経緯を経て現在の株式会社サロンゴを設立。
主にエジプトを初めとする中東、アフリカ地域の観光現地の案内や、観光やツアーの企画立案などを中心とした事業を展開している。
ボーイング707、乗り継ぎに乗り継いでエジプトまで30時間
-木原さんがエジプトと関わり始めたのにはどのような背景がありましたか?
私自身、まさかエジプトとこんなに永い付き合いになるとは思っていませんでしたが、当時勤めていた会社で、たまたま企画したエジプトツアーに添乗したのがきっかけです。当時(70年代後半)は女性の添乗員よりも女性の添乗員よりも男性が添乗することは、珍しい事でもなかったんですよ。なにしろ女性添乗員より男性添乗員の方が割合は多かったですから。
-なるほど、昔からずっと女性添乗員が多かったというわけではなかったのですね。
淋しいことに男性の添乗員は少なくなってしまい、現在では昔から添乗員は女性が主流だと考えられがちですが、実は以前は女性添乗員はほとんどいなかったんです。
女性がこうして添乗員をご案内するようになったのは、年齢や性別に関係なく、旅行に行く、海外に行く、飛行機に乗るという事が当たり前になってきた事も要因として挙げられるのではないでしょうか。フライト時間が短縮され、働き易い環境になりつつあることもひとつの要因かもしれませんね。
-たしかに海外に行く飛行機に乗る上では、安全かどうかという認識が非常に重要ですよね。その他にも以前は現在と違っていた事などありますか?
飛行機の話ではなくてエジプトに関してですが、当時は日本とエジプトを結んでいた飛行機はボーイング707といって、マニラ、バンコク、バーレーン、カイロへ給油しながらと30時間以上かけてカイロまで行っていたんですよ。今ではエジプト航空さんの直行等もあって12時間前後でカイロまで行けますから、それを考えると今は本当に便利になりました。
それに、現在は年間に日本からエジプトへの渡航者が8万人以上とも言われていますが、当時は1万人以下で非常に少数だったんです。
-そうだったのですね、そう考えると現在は12時間前後でエジプトに到着できますし、恵まれているといえるのかもしれませんね。エジプト航空さんのカイロ直行が始まったのは98年頃でしたよね?
そうです、そうです。成田便が始まったのは確かその頃です。それ以前から関空便はありましたが、カイロから関空へ行く最初のノンストップの便に私はたまたま搭乗しました。関空からカイロへフライトするための飛行機を関空へ持ってきたのです。ですから誰もお客さんが乗っていないガランとした飛行機の中に乗っていましたね。
-初めてのノンストップ便に搭乗できたのは貴重な経験ですよね。それでは次からは現在の仕事と旅行者の傾向についてお話を伺いたいと思います。
現在の仕事と旅行の傾向
-さて、現地の人たちに押されて当時会社設立をなさったわけですが、現在の社名になっているサロンゴというのはどういった意味が込められているのでしょうか?
「サロンゴ」というのは基本的にはアフリカの言葉ですが、地方によって意味合いが異なってくるんですね。ザイール語ではゼロから始めるだとか、何も無いところから作り上げる。といったような意味合いです。また、地域によっては双子という意味もあります。
エジプトをはじめ中東、アフリカを紹介する事業を展開していくつもりだったのでこの言葉を選んだんですよ。
-なるほど、ゼロから造り上げていく…良い言葉だと思います。それにしても本当にゼロからのスタートで、しかも日本から遠く離れた中東・アフリカでのお仕事ということですと、なかなか苦労が多かったのではありませんか?
それはもう、苦労する事は数え切れない程ありましたよ(笑)当時の苦労が現在のサロンゴで生かされていますけどね。30年くらい前の話ですけど、たとえば、何より先に、現地とのやり取りが必要な訳です。当時はFAXもない時代だったのでコミュニケーションをとるのが難しかったんですよ。テレックスというものを使って現地とのやり取りをしていたんですが、コレもまた結構大変でした。
-そうですね、FAXも無いということですと、相当やり取りには苦労なさったと思います。では、サロンゴさんのお仕事についてエジプトに限定して伺いますがエジプトのどんな面に力をいれていらっしゃいますか?
弊社はBtoBで、旅行会社と現地との橋渡しが仕事です。お客様の年代や目的に合わせた企画提案や、より深くエジプトについてご紹介できるプランの提案をしています。
私自身、エジプトは大好きな国ですから、部分的な魅力についてお答えするのは難しいですね。
-お客様のニーズに応えるサービスの提供はすばらしい事ですね。最近ではどういったプランが人気があるのですか?
おなじみの遺跡ツアーなどは相変わらずの人気ですが、最近、人気の出てきたツアーといえば砂漠を観光するツアーですね。エジプトで砂漠ツアーというと、どこででも出来るような感じはしますが、砂漠の中でも白砂漠と黒砂漠での砂漠観光に人気が出てきています。
-砂漠ツアーですか。面白そうですね。写真でしか見たことが無いので是非実際に行ってみたいものですね。それでは最後に、次のページでは木原さんオススメのエジプトと今後のサロンゴさんについて伺いたいと思います!
お勧めのエジプトと今後のサロンゴ
-木原さんが、エジプトでここは是非に!オススメのスポットや必見の場所などあれば教えてください。
うーん、僕は全部が大好きですから(笑)。全てが見所ですから、とにかく色んな場所でて色んなものを見てほしい!というのはありますけどね(笑)
例えばシナイ半島も良いですよ。シナイ半島は日本人にとっては観光といったイメージが薄いかもしれませんが、実はヨーロッパの方々にとっては絶好のリゾート地となっていて、非常に人気の高い地域なんですよ。
スクーバダイバーにとっては、世界有数透明度を誇る紅海もあります。モーゼが十戒を説いたと言われているシナイ山も神秘的です。ゆったり優雅なリゾートを楽しんでみたい方にはお勧めの地域ですね。
とにかく、エジプトはでは魅力的な文化と歴史を色んな場所で、色んな角度から楽しんで、知っていただきたいと思います。
-シナイ半島ですか。イスラエルやイラン、イラクに近い事からエジプト・カイロの周辺よりもシナイ半島の治安について少々不安、というイメージを持っている方もいると思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?
シナイ半島の治安は決して悪くありません。ただし、日本とは全く違う文化を持った国であることを理解していただき、楽しんでいただきたいと思います。
-そうだったのですね。木原さんからこのページを読んでくれた皆さんに何か伝えたい事などはありますか?
そうですね、エジプトに限らず、アフリカや中東は古くから文明が栄えた場所です。これらの場所ではのもあ古代からの建造物や、日本では決して見ることができない「自然の形」があります。治安についても先ほどお話したとおりです。興味がある方には是非、出来るだけ色んな場所に訪れていただきたいと思っています。
まずは比較的渡航し易いエジプトへ行っていただき、その後、シリアやヨルダンといった近隣の国々にも足を運んでいただければ充分に楽しんでいただけると思っています。
日本とは全く文化や風土が違う場所なので、実際に訪れて体感する魅力は大きいです。是非、中東・アフリカを体感してきてほしいと思います。
-そうですね、文化の違いは観光する上でも非常に重要ですよね。では最後に今後のサロンゴについて一言どうぞ。
私たちサロンゴは、イスラム圏地方、アフリカにおいて、これまで満たされなかった需要、つまり、需要があっても供給できなかったエリアをお届けしてまいります。「わがまま旅行大歓迎!」がサロンゴのセールスポイントです。皆さんに、最高に楽しんでいただけるお手伝いをさせていただきます!
-今後、また大勢の観光客がエジプトや近隣での感動と体験を日本に持ち帰ってくれると嬉しいですね。木原さんも、本日はお忙しい中ありがとうございました。