エジプトと動物

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人と動物の関係はとても深く、時には食材として、時には狩りのパートナーとして、そして時には人間の心を癒す共存者として私たちと共に生活を営んでいます。

その中で最も私たちの心に深くかかわってくるのは共存していく動物、今で言うペットという存在になります。ペットという概念が生まれるきっかけとなったのは約3億年前。狩りのパートナーとして現在の犬の先祖となる動物を人間が飼いならした事がきっかけといわれています。

それから何世代にもわたって、人間と犬との共同生活が進み、その中でペットという新しい概念が生まれたと考えられています。

犬と並んでペットとして最も人間に身近な動物は猫ですが、猫は古代エジプトのB.C(紀元前)2000年頃に話がさかのぼります。その頃上流階級の人々の間には、食物を食べてしまうネズミへの対抗とともに、愛くるしい姿の猫をペットとして飼育する事が流行しました。コレが、人間の猫をペットとして共存していくきっかけとなります。

様々な経緯を経て、現在では多種多様な動物がペットとして飼育されるようになりました。さらには、その動物たちと接する事によって、人間に心理的な良い影響を与えるという事も解明されてきています。

ココでは、エジプトで見られる動物たちの紹介と解説を進めて行きたいとおもいます。

エジプトで見られる動物たち

エジプトで見ることのできるポピュラーな動物をご紹介しましょう。

エジプトハゲワシ

学名: Neophron percnopterus

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アフリカからインドにかけて、広く分布すむ、小型のハゲワシ。サバンナや草原にすみ、動物の死体を主に食べる他、小型の動物を自分で捕らえて食べることもあります。

頭のよい鳥で、殻の厚いダチョウの卵を食べるときには、小石を卵にぶつけて殻を割る生態が知られています。小さい卵でも、高いところから落として割ったりするそうです。

汚白色の羽と、独特の体型から他種と見分けるのは容易です。

(情報提供:みんなの動物園図鑑様)

エジプトトゲオアガマ

学名: Uromastyx aegypticus

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大型なトゲオアガマで、最大全長は60cmほどにもなる。

広く分布する種であるが、東西のそれぞれの個体群では、遺伝や外見に少なからずは差が生じており、以前まではアラビア半島以東の個体群は別種として考えられていることも多かった。

しかし現在では、東西の個体群の差は亜種レベル程度のものとして考えられることが多い。

(情報提供:gooペット様)

エジプトリクガメ

学名: Testudo kleinmanni

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アフリカ北部に生息する小型のチチュウカイリクガメの1種です。またペットトレードが原因でCITESの附属書Iに掲載され、国際的な商取引が禁止されているリクガメでもあります。

以前はナイル川以東からシナイ半島にかけて分布しているリクガメも本種とされていましたが、2001年にウェルナーリクガメT. werneriとして別種とされました。

(情報提供:All About様)

ヒトコブラクダ

学名: Camelus ferus

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ラクダは『砂漠の舟』とも呼ばれ、アラブ世界では自動車が普及するまで、重要な移動手段であった。ラクダを最初に家畜化したのは古代のアラム人ではないかと考えられている。

アラム人はヒトコブラクダを放牧する遊牧民、あるいはラクダを荷物運搬に使って隊商を組む通商民として歴史に登場した。また、肉用、乳用として利用されるほか、皮をなめして用いたり、毛は織物、縄、絵筆などに利用される。

特に寒冷な中央アジアのフタコブラクダの毛は織物の素材として優秀である。かつては木材が貴重品である乾燥地帯では、ラクダの糞が貴重な燃料でもあった。

(情報提供:Wikipedia様)
(写真提供:みんなの動物園図鑑様)

神聖な動物

ここでは古代エジプトの宗教観を飾った様々な動物を紹介します。ここで紹介する動物たちはそれざれが古代のエジプトでは神聖な動物としてあがめられてきて、その宗教観を彩り、古代のエジプト人の生活に少なからず影響を与えた人物として捕らえる事が出来るでしょう。

その動物たちはそれぞれがまだ絶滅する事もなく私たちが見ることが出来るものばかりなので、時間があるときには古代エジプトの動物めぐりなどをしてみるのも楽しいかもしれませんね。

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エジプトの中で最も古い神のひとつ。力強い猛禽類である鷹(場合によってはワシ?)を神格化したものであり、王のシンボルでもある。

王朝初期において、王はホルスの化身とされ、ホルスは王を意味する存在だった。ところが太陽神ラーが台頭するにあたり、ラーよりホルスがえらいのではマズいということになり、ホルスはラーの息子に一段階下げられた。

その後、死せる王がオシリス神と同一視されたことにより、ホルスはオシリスの息子、生きた王の象徴ともされるようになった。

(写真提供:Acciptiridae様)

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太陽が沈んだ後、夜の世界を照らす「銀の太陽」。太陽の船に対応する、月の船に乗る。月が満ちている時は癒しの力、欠けている時は鋭い刃で邪気を祓う力を発する。また、月の光で特定の病を癒すことも出来るという。三日月をナイフとして振るうともされる。もとは、新生児を守護する神だったと考えられており、月は霊感を呼び覚ますものなのか、新生児の余命を予言するという信仰もあった。

(写真提供:SUZUKI ROOM様)

カバ

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その名前は「大いなる母(婦人)」を意味する。ナイル河に生息するカバは恐れられる存在だったが、メスのカバだけは母なる女神として崇められた。大きな垂れ下がった乳房と、保護を意味する護符「サァ」を持つ姿で描かれ、特に女性や妊婦の守護者。

(写真提供:カバ大図鑑様)

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フゥト・ホル、つまり「ホルス神の館」というのが、名前の語源。意外かもしれないが、古代エジプトの初期には、ハトホル女神がホルス神の母親とされた。有名なエジプト初期の王、ナルメル王のパレットには、戦う鷹の姿と、それを見守るように上部に描かれた牛の顔が刻まれている。(この牛は正確には”バト女神”で、のちにハトホル女神に吸収され、一部となった。ハトホル女神は多数の”母なる女神”の集合体であり、もともとは一般名称だったとも考えられる)

(写真提供:Emvryo of Yellow Cattle様)

クロトキ

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死者の審判においては、アヌビスとともに死者の罪を計量し、是非を判定。死者の名前を書いたリストを所持ししている。時の管理も行っており、水時計の開発者にして、暦をつける人。太陽の沈んだあとの夜の時間は、トト神が太陽にかわって地上を守護するという。文字の開発者であり、書記たちの統率者。また、ピラミッドの建造方法など、優れた知恵を与えたのもトトとされている。王が即位したときには、その王の名前を、永遠に朽ちない”イシェドの葉”に書き記す。そして、中王国時代以降は、ヘルモポリスの万神殿の主もやっている。

(写真提供:Australia様)

ワニ

ワニの姿をとる神。主に、ワニの多い農耕地帯・ファイユームで信仰された。農耕地の守護神のため、豊穣の神という性格を持つ。河に流された、オシリholyanimal06ス神の体のパーツを拾い集めるのを手伝ったという意味では善神・オシリス陣営だが、ワニは嫌われるものとされ、セト陣営に属する悪神とされることもあった。そのため、地方によって崇められることも、迫害されることもあった複雑な方である。

(写真提供:巨大ワニ”ファーザー”様)

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彼の主な役目は、生命創造と洪水管理。手先が器用で、ろくろを回し粘土から人間を作り出す。四つの元素すべてを保持しているため、土の中に魂を吹き込むことが可能らしい。職人気質。誕生の女神ヘケトを妻とし、ともに人間を創造している。また、エジプトの南端・エレファンティネの守護神で、そこより南方から来る洪水の管理をしているという。ナイルの水源には普段、結界が張られており、水位が抑えられているのだが、クヌム神が魔法の矢で、毎年決まった時期にその結界を破ることによって水が溢れ出し、増水が発生すると信じられていた。

(写真提供:Sprina Lambs様)
(情報提供:無限空間別館様)

エジプト動物の現状

現在のエジプトでは残念ながらペットという文化はほとんど存在していないに近い常態です。最近では、一部の裕福な家庭でのみ犬などをペットとして飼うことが流行しており、高級住宅街に赴くとヨークシャーテリアなどをつれて歩く人々の姿を見かけることもあります。

しかし一般的にはカイロ市街ですらヤギや犬などが野生のまま町にうろうろしている状態で日本との環境や生活観の違いを痛感させられてしまいます。

現在のエジプトの一般家庭ではペットという概念、観念での飼育はしていませんが、町のあちこちで動物を見かけることは出来るので、ある種では人間と動物がうまく共存している社会を作り上げているとも言えるのかもしれません。

ラクダなどはペットというよりは観光用の商品としての飼育がされているようです。そのために、三大ピラミッドのパノラマポイントなど、観光名所等ではいたるところでラクダに載せてくれるサービスを行っている人々を見ることが出来ます。

このように現在では、ペットとしてよりも商業用としての動物の飼育の方が盛んだといえるかもしれませんね。