エジプトの自然

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エジプトの自然に関してのご紹介をします。エジプトは一般的に砂漠の国という印象がありますが、目を見張る自然は裁くばかりではありません。エジプトの国土は1,001,450k㎡で、日本の国土377,835k㎡の約2.5倍ほどあります。しかし、人が暮らしていける環境というのはそのわずか4%しか存在していないという、きわめて小さな地域で国が成り立っています。

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左の写真は飛行機から撮ったサハラ砂漠の写真です。国土の大半を占める砂漠は、ピラミッドなどと並ぶほどにエジプトの国を象徴するものだといえるのかもしれません。

エジプトにはこうした砂漠が延々と続いています。サハラ砂漠から始まってリビア砂漠や東部砂漠、西部砂漠、グレート砂漠など様々な砂漠が絡み合って形成されています。また、北は地中海に面していて古代からギリシャやローマとは深い関係がありました。東は紅海シナイ半島と続き、土地はアフリカとアジアをつなぐ位置に面しているため非常に重要な地点となっています。

季節・気候

気候

エジプトの気候は大別して3つほどあり、まずは海岸付近で地中海性気候となっています。そのため、夏の感想量が激しく、比較的に温暖な地域が広がっています。冬もある程度の降水量があり、土壌は石灰岩の風化によってできたテラロッサと呼ばれるものが広がっているのが特徴です。

そして、ナイル川下流のデルタ地帯になるとステップ気候に変わってきます。草木は丈が短く、昼夜の歓談の差は激しいといった特徴を持っています。年間を通して殆ど雨は降りませんが、乾季と雨季があるため、一定時期には多くの雨が降ってきます。土壌は黒っぽい色のチェルノーゼムが広がっています。

さらに内陸へ行くと本格的な砂漠気候となってしまいます。砂漠気候とは年間降水量が一般的には250mm以下の場所を指しますが、多くはその数字を大きく下回ることが大半だといわれています。日差しが強く、風も強いところが多いです。そのために、動植物の生存は殆ど不可能な状態ですが、一部にはオアシスと呼ばれている部分もあり、その部分では植物が育ち、人も生活しています。

季節

主に大別するとエジプトには季節が二つあり、5月から10月は夏、11月から3月までを冬として区分することができます。日本と比べて年間を通して温暖な国ですが夏と冬、また昼夜の寒暖の差が大きいのが特徴です。夏は殆ど乾燥していて雨も降ることはありませんが、冬になると数回だけ雨が降ることがあります。日本のように秋や春のような中間的気候は存在していないために、雨季と乾季というような季節にも分けることができます。

砂嵐

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(写真提供:エジプトよもやま話)

季節と気候の他に、エジプトには砂漠地帯特有の砂嵐と言うものがあります。

砂嵐は主に3月から5月にかけておこるもので、砂というよりはパウダーのような目の細かい砂塵が巻き上がっている状態です。砂嵐の中ではカメラやビデオなどすぐ壊れてしまう危険性が高いので、旅行者の方は十分に注意を払ってくださいね。

沙漠

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(写真提供:サハラへの旅)

エジプトの国土のほぼ全ては沙漠に属しています。砂漠というのは本来は沙漠と書くのが普通で、漠と言う文字には不毛なものがどこまでも続く。というような意味がこめられています。また砂という文字は石が少ないと書くことから、砂の多い土地を連想してしまいますが。沙とかくと、ともかくも水が少ないという意味になり、もっとも沙漠としての意味に当てはまっている。ということになります。そういった中で沙漠と言っても一口に言えるものではなく、沙漠の中に皆さんがよく連想されるどこまでも砂の続いている沙漠を砂沙漠といい、岩石が多く、水の介在しない地域を岩沙漠といいます。また、石がごろごろしているだけの不毛の地は礫沙漠ということができ、一口に沙漠といってもその様態は様々あるものだということがわかります。そして、沙漠の中でもっとも広い地域を占めるのは砂砂漠ではなく岩沙漠であり、その次が礫沙漠、もっとも少ない沙漠は砂沙漠ということになります。

そして、沙漠の定義というのは一般的に年間降水量が250mm以下の場所のことを指すので、エジプトでよく雨が降る場所といわれているアレキサンドリアでさえ年間降水量は200mm前後ですから、エジプトのほぼ全土が沙漠地帯だといっても過言ではないのかもしれません。ナイル川下流域のデルタ地帯も、沙漠に属しています。

こうした沙漠をそれぞれ紹介していきたいと思います。エジプトを覆っている砂漠は世界最大の沙漠、サハラです。サハラというのは現地の言葉で「不毛の大地」という意味になるそうです。そのサハラ沙漠の中でもエジプトの領土内にある砂漠というのは多岐にわたっています。

東部沙漠

東部沙漠というのは別名でアラビア沙漠とも言われています。エジプトアフリカ大陸部分の東部に位置していて、紅海に沿うような形で、分布しているのが特徴です。また、この地帯は山岳地帯となっていて、周辺の土地よりも高いところに位置している沙漠ということになります。

西部沙漠

西部沙漠というのは別名ではウエスタン沙漠とも呼ばれていて、カッターラ低地の南に位置している砂漠のことを指します。この西部沙漠の周辺にはシーワオアシスなどを代表とするオアシス群が点在しているのが特徴ということができます。

リビア沙漠

リビア沙漠というのは隣国リビアとまたがって広がっている沙漠のことで西部沙漠の西側一帯の沙漠を指しています。ここリビア沙漠ではリビアンガラスというものが採掘されるのが魅力的です。リビアンガラスというのはリビア沙漠に落ちた隕石によって地球の一部が溶けて空気中で固まったものだそうで、見た目は白いのですが光にかざすと美しく透ける、魅力的なガラスです。

ヌビア沙漠

ヌビア沙漠というのは、アブシンベル大神殿で有名なヌビア地方に広がっている砂漠のことで、東部砂漠の南に広がっています。また隣国スーダンとの国境にまたがって分布している沙漠です。

これらの沙漠によって国土の大半を埋められているエジプトの人が住む事ができる場所というのはわずか4%しかないそうです。また上記で紹介した沙漠の中には沙漠の種類としては珍しい黒沙漠と白沙漠というものがあります。

黒沙漠というのは、砂の中に黒い礫が混じっていて遠くから見ると黒っぽく見える砂漠のことです。またもっとも希少な沙漠のひとつで白沙漠というのは太古に海底に沈んでいた部分で、珊瑚礁などが固まって石灰岩となった岩石が、地表に出てきて長い年月によって風に吹かれたり削られるなどして自然的にきのこ状の形を形成した岩が多く並んでいます。また、そのこぼれた岩の破片がまた小さくなって砂となるため、白沙漠周辺の砂は他の部分とは異なって白く、訪れた人の中には沙漠の中の雪景色というほどに、美しい情景を奏でています。

一口に沙漠とは言っても様々な情景があり、エジプトを取り巻いている砂漠の状況なども少し伝わっていれば幸いです。エジプトの遺跡や町を見て回る旅行に行った事のある方は、白砂漠を目指して、オアシスを見て回る旅行などに目を向けて見られるのも面白いかもしれませんね。

ナイル川/海

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(写真提供:NATURABLOG)

ナイル川というのは、エジプトだけを流れている川のことではなく、いくつもの国にまたがって流れている川のことを総合してさす名称です。アフリカ大陸北東部を流れる大河で、エジプトのほぼ中心部を流れています。川の全長は6,695kmもあります。

源流は一般的にはビクトリア湖と思われていることが多いのですが、ビクトリア湖自体には流れ込んでくる川が存在していて、そのビクトリア湖よりさらに上流にさかのぼるナイル川の源流として正しいのは正確に言えばブルンジ共和国を流れているルヴィロンザ川と呼ばれている川が源流ということになります。ビクトリア湖より下流のナイル川のことはビクトリアナイルと呼ぶのが正しいようです。

ビクトリア湖から下流へ500km程進むとアルバート湖という湖に到着しますが、そこからさらに下流のナイル川はアルバートナイルとして知られています。ナイル川はスーダンを流れる間にバハルエルガザル川という支流と合流します。そこからのナイル川は白ナイルという名称に変わります。

さらにスーダンを流れている間にスーダンのハルツームという場所ではエチオピアのタナ湖から流れてくる青ナイル川とさらに合流してその後もアトバラ川という支流とも合流してエジプト領内に入ります。エジプト領内に入るとアスワンハイダムがあり、それによってできた人口湖のナセル湖に注がれます。そこからは一般的に言われているいわゆるナイル川となってエジプトを流れ、フィラエ神殿、ルクソール、ギザなどを通り過ぎ、下流ではデルタを形成しながら地中海へと流れ込みます。

ナイル川はそうした長距離を流れてくる経緯もあり、上流の肥沃な土をエジプトの乾燥した土地へ流してくるためにエジプトの農耕が発達して世界4台文明といわれるまでの文明を築くまでになりました。また、雨季がありナイル川は定期的に氾濫したために氾濫後の農地を分割して整理するために、エジプト文明では推量や幾何学なども発展しました。こうした事情を目にしたギリシャのヘロドトスによって、エジプトはナイルの賜物。と言うような名言が生まれ、現在に至るまでその言葉は広く使われてきたようです。

現在は、ナイル川の推量はアスワンハイダムの建設に伴って整理され氾濫もなく一定量の収穫を迎えることができているようですが、アスワンハイダムの建設後の課題として塩害などが懸念されています。

エジプトの港町。といえばもちろんアレクサンドリアに他なりませんが、エジプトの海というと地中海ではなく紅海のほうが圧倒的に有名です。エジプトの紅海に面している多数の都市からダイビング等を楽しむことができ、その範囲はシナイ半島東部のダハブから始まり、シャルム・エル・シェイクや、ハルガダ・サファーガと多数のダイビングエリアが存在しています。

青く透き通る海は、世界中のダイバーから注目の的とされていて、バリやハワイとはまた一味違った感覚を味わうことができます。では紅海、地中海それぞれの特徴などを紹介します。

紅海

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(写真提供:美ら海フリーダイブ)

紅海というのは、アフリカ大陸と、アラビア半島に囲まれた湾のことを言います。紅海というのは地球の裂け目である地溝帯と呼ばれる部分に海水がたまってできた海のことです。その平均水深は491mといわれていて珊瑚礁や岩礁等をよく見ることができます。

季節風の影響で、海流は北西から南東へ向けて流れていることが多く、その海水はやがてインド洋へと流れ着きます。紅海上では、時折蜃気楼を見ることもできます。

地中海

地中海というのは、北と東をユーラシア大陸に囲まれて、南をアフリカ大陸に接している地中海のことを指します。海洋学上での地中海とは内容が異なってくるので、予めご確認下さい。

正確には、西がジブラルタル海峡までの大西洋と接するポイントまでを指し、東は黒海に繋がるまでの海のことを言います。マルマラ海という海を地中海に含めることもあるようですが、黒海は含まれず、接点までの範囲が地中海に分類されます。19世紀に開通されたスエズ運河を通し、紅海を経由してインド洋につながります。

外洋ではないために波は比較的穏やかなことが多いです。沿岸は複雑な海岸線を形成していて非常に港が発達していることが多いです。また、地中海を出発して北アメリカ、ユーラシア、アフリカの3つの大陸を往来することができます。地理的にも非常に重要な位置を占めているために地中海は昔から海上貿易が盛んに行われてきました。現在も世界の海上交通の要衝のひとつとして、重要視されています。

地中海の沿岸は地中海性気候と呼ばれていて、夏に乾燥、冬に湿潤となる性質を持っています。そのため、特に夏場は多くの観光客が訪れてにぎわいます。

人口自然物

ナセル湖

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(写真提供:kubota)

ナセル湖はナイル川をせき止めるアスワンハイダムの建設に伴ってできた人口の湖です。長さは550kmにもおよび、5,250k㎡の広さを持つ巨大な人工湖となりました。アスワンハイダムの建設にあたって、アブシンベル大神殿がナセル湖の水中に沈むことがわかると、その歴史的価値の重要性を考えたユネスコによってアブシンベル大神殿は移築されて、ナセル湖の近くに方向などを帰ることなく位置を変えることになりました。アブシンベル大神殿からは現在もナセル湖を望むことができます。

また、エジプト政府の要請により日立を含むEEJC(エジプシャン・ヨーロピアン・ジャパニーズ・コンソーシアム)によって、ナセル湖から古代ナイル川の流水経路への灌漑用の水路が作られ現在ポンプによる水流の確保に成功し徐々に近隣で農業が始まったようです。この農業の発達により、都市部などからヌビア地方に移住して農業に携わろうとする人も増加しているようです。

スエズ運河

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(写真提供:旅の空から)

スエズ運河というのは、スエズ地峡にある運河の事で、地中海と紅海を結ぶ運河として1859年に工事に着工して10年の歳月をかけて1869年に開通しました。この運河の開通までには150万人のエジプト人が事業に服して、そのうちの12万強の人がコレラにかかってなくなってしまうなど、多大な犠牲を払って開通にいたりました。この運河の開通によって、ヨーロッパとアジア間の貿易などでアフリカを迂回して喜望峰を通っていく必要がなくなりました。

開通当初はエジプトとフランスによる共同所有とされていましたが、エジプトの対外債務によって運河運営会社の株をイギリスに売り渡すことになりましたが、ナセル大統領の時代に運河は国有化されました。

その後、様々な事情が絡み合いながらもスエズ運河をめぐった対立が諸外国と続きましたが、国連がエジプトの運河国有化を認めるなどによって、自体は収束しました。現在ではヨーロッパ、アジア諸各国の貿易船がスエズ運河を通過しています。エジプトの重要な資金調達源になっているようです。