エジプトとダイエット

Diet

ダイエットというのは、今も昔も変わらない人類の悩みの一つですね。現在ではダイエットの種類も多くなり、様々なダイエット方法や製品が出回っていますが、エジプトの昔ながらのダイエット方法というのはどのようなものだったのでしょうか…?

そもそも、古代、中世の時代というのは現在とは美的感覚が違っていて多少ふくよかな女性のほうが男性には人気がありました(もちろん個人差はあります)。それはなぜかというと、身分の違いによるものでした。一般的には身分の低い人は豪勢な食事を取ることもできずにいたので、スマートでやせている人が多かったと考えられています。では、身分の高い人はどうだったのでしょうか?身分の高い人は食事も質素なものではなく専門の料理人などを雇い入れて割りと裕福な食生活を送っていたと考えられています。さらに、その当時の女性は歴史の表舞台に立つことは少なく、身分が高い女性として生まれた人は、箱入り娘という文字通り、家の中で大切に大切に育てられることが多かったようです。

たしかに昔の有名な彫刻や絵画を見てもわかるとおり、モデルにされるような女性はふくよかな人が多く、当時の美が現在の美的感覚とは若干の誤差があったことが伺えます。しかし、エジプトに残されている古代遺跡の壁画を見ると、女性も男性もきれいにやせていることが多く、美という感覚においては現在とさほどの大差は無かったように感じます。果たして、こうした身分の違いなどもある、古代、中世期においてなぜエジプトはこれほどまでに現在と美的感覚が代わることが無かったのでしょうか?
エジプトのダイエットの秘密、美の秘密に迫ってみたいと思います。

バジルシード

みなさんはバジルシードという名前を聞いたことがあるでしょうか?バジルシードというはタイ原産の薬草で、シソ科オシマム・カヌムの種子のことをいいます。オシマムは香りのいい薬草で、夏に白い小花をつける一年草です。ハーブとして有名なバジルはこのオシマムの代表的な薬草として、世界中で広く愛されていますね。日本でもバジルを知らない人というのはほとんどいないほど有名だと思います。オシマム・カヌムの種子であるバジルシードは、水を含むと寒天状の物質が膨張して35倍近くもの体積に膨らむ事が最大の特徴としてあげることができます。水分吸収後は多糖質の層に覆われることも実証されていて、空腹感を抑制する作用があります。見た目は黒ゴマのような種子で一粒の大きさは大体2mm前後です。

また、バジルシードは食物繊維が豊富な食品でもあり、100g中50g…約半分もの食物繊維を含みます。レタス1個(約100g)当たりの食物繊維は1.1g、バジルシードは3gでレタス1個分以上に当る1.5gもの食物繊維を摂取できるということになります。この多量の食物繊維が腸の働きを活性化させて体内に蓄積された老廃物を取り込みながら体外へ排出するので、宿便の除去効果があるとされています。

エジプトでもバジルシードというのは古くから栽培されていたようで、こうした食物を効率よく摂取することで、高い身分の人も豊かな食生活を送りながら細身の体系を維持することができたのかもしれません。原産国のタイでは、食事やデザートにもバジルシードは活用されていて一般的な人気のある食材としても使われています。さらにバジルシードの実は江戸時代から日本にも存在していて、「ケメボウキ」という名で広く親しまれていました。

最近になってこのバジルシードのダイエット効果に改めて注目が集まっているようです。原産こそエジプトではありませんが、古くからエジプトでも栽培されて人々の間で親しまれてきた美容と健康に役立つ食物ということは間違いないでしょう。空腹感を抑える効果もあるので食事制限のダイエットをしている方、バジルシードを利用して相乗効果を狙ってみてはいかがでしょうか?

ベリーダンス

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(写真提供:アラジン輪舞曲)

エジプト発祥のダンスの中にはベリーダンスというものがあります。ベリーと言うのはは「お腹」を意味している言葉で、ダンスではお腹を特に動かしますが、腕、胸、足、肩と全身をくまなく使用するため、女性らしいしなやかで美しいプロポーションを手に入れることができるといわれています。また、全身を動かすためにダイエットにも効果的です。

元々は、ベリーダンスは女性同士で楽しむための女性の社交的なダンスとして浸透してきたために、女性らしさを最大限に表現できる他、健康面でも様々な効果が期待できるとされています。特に顕著な効果としてはベリーダンスはお腹を動かすことが多いので、内臓の働きを活発化して機能を整えてくれたり、便秘や生理痛・肩こり・腰痛そしてお肌にもいい影響を与えると言われています。万能健康美容運動といえるかもしれません。

運動はしたいと思っているけれど、何をしたらいいのかわからないという人や、億劫でなかなか行動に移せない人。一人でできるような運動がなかなか思いつかない人などもベリーダンスをきっかけにして体を動かしてみてはいかがでしょうか?体を動かして新陳代謝を高めれば肌の生まれ変わりもスムーズに行くので若々しくみずみずしい肌を保つことができますし、代謝があまりよくない状態のままダイエットをしてもやせなかったり、手入れをしても肌が良くならない、疲れが取れない、体調を崩しやすいなどの諸症状が出手しまうなどの可能性もあり、非常に効率の悪い状態になってしまいます。また、内臓の細胞も古くなって生活習慣病などもひきおこしてしまう原因にもなりますので注意が必要ですね。

これからの健康と美容、ダイエットを考えて運動をするなら楽しく踊ってストレス解消もできるベリーダンスで汗を流してみるのも、いいと思いますよ。エジプトでは、イスラムがエジプトを支配するずっと前から女性の間で楽しまれてきたダンスで、イスラムの侵攻後は日の目を見ることはなくなってしまいますが、影では延々とダンスは伝わり続け、西洋からアメリカへ渡り、世界中に注目を浴びるほどのダンスになりました。現在では、人類最古のダンスとも言われていて、健康や美容だけではなく、人類史を調べる人々などにも注目されているダンスとなっています。

にんにく健康法

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(写真提供:まほろばの里)

エジプトで古くから親しまれてきた食材としてにんにくを挙げることができます。にんにくは香味野菜として現在では世界各地で日常的に使われている食品として知らない人はいないほど有名になっています。そのにんにくの力は古くから知られていて、古代エジプトではピラミッド建設に従事した人たちの重労働を支える食品の一つとして使用されてきました。また、中国でも強壮薬として長い歴史を持っています。日本では「おおびる」という名で源氏物語に登場していますが、定着度はいまひとつだったようです。

にんにくの効用が科学的に注目され始めたのは体に有効な成分、スコルジンが発見されたことを始まりとしています。その後は続いてアメリカ、スイスでアリシン、アリイン等、体に有効な成分が続々と発見され、解毒作用や抗酸化作用の高い食品であることが認められました。近年のアメリカでは、がん予防が期待できる食品の第1位にまで評価は上っているようです。粉末や顆粒、粒、錠剤、カプセル、液状など様々な形状に加工され、私たちの手の届く範囲で健康食品として様々な商品が出回っています。料理に使用する場合に気になのは臭いですが、原料の段階で無臭ニンニクを使っていたり、消臭成分を配合した製品もというものも最近では出回っているため、調理方法によっては、口臭をほとんど気にせず食べることも可能となってきているようです。

さて、そのにんにくの効能などについて、解説していきたいと思います。にんにくは特有の強い臭いを発しますが、この臭い正体がアリシンといわれる成分です。アリシンには強力な殺菌作用があって、赤痢菌や寄生虫駆除、さらにはチフス菌やコレラ菌にも耐性効果があることが最近の研究でわかってきているようです。また、現代病の一つには慢性的な疲労感を挙げることができると思いますが、この疲労感を防ぐにはビタミンB1が必要とされています。にんにくの中にはこのビタミンB1が豊富に含まれている上に、アリシンは体内でのビタミンB1作用を高めくれるため、疲れた時や元気の出ない時などには非常に有効な食材といえるでしょう。

最初に出てきた成分で、スコルジンというものがありましたが、スコルジンは新陳代謝を盛んにして強壮作用、食欲増進の効果があり、風邪の回復を早めたり、風邪をひきにくい健康な体に整えてくれるなどの効果があります。またコレステロール値を低下させる作用も認められているので動脈硬化や高血圧を予防する成分としても非常に有能だと考えられています。

世界各地のさまざまな料理に登場するにんにく。その歴史は古く、紀元前よりエジプトではすでに栽培されていました。栽培状況を描いた壁画も残っていますね。この食物には臭いの成分である「アリシン」や「スコルジニン」など、様々な成分が含まれていて食べることに抵抗感がある人は少なからずいるとは思います。しかし、こうしたにんにくの発する香りの裏にはそういった健康に役立つ成分が豊富に含まれていて、日々を健康にするだけでなく日常に活力を与えてくれる食品だということは覚えていたほうがいいかもしれません。疲れた時にはためらわず古代の知恵に従って食事に組み入れて行きたいですね。