エジプト関連辞書(ま行)
末期王国時代/In the days of a terminal kingdom <用語>
古代エジプトにおける歴史区分で、第27王朝から第31王朝までの王朝がエジプトを統一していた時代を指す。わずかの間に多くの王朝が入れ替わりながらもかつてのエジプトの栄光を取り戻した時代。しかし実情は苦しく、王朝が何度も交代をしているのがその証と言える。 第27王朝 第28王朝 第29王朝 第30王朝 第31王朝
マケドニア/Macedonia <地域>
マケドニア共和国、ギリシャ、ブルガリアの三ヶ国にまたがる地域で、古くはギリシャ人が多く住んでいたが、後にスラブ人が多く入植するようになった。 歴史的にはアレクサンドロス大王を輩出した地として有名であり、その後は東ローマ帝国やブルガリア、オスマン帝国などの支配を受けた。
マケドニア人/Macedonian <用語>
マケドニア人という定義は、時代や年代によって異なり、現在ではマケドニア共和国に在住している南スラブ人を指す用語として使用されている。さかのぼり、古代から中世にかけてはギリシャ人の一派で、マケドニアに住んでいた人々の事を指した。
マナーマ/Manama <都市>
バーレーンの首都で国民の25%の人口が集中している。バーレーン島の北東部に位置しており、歴史上様々な支配を受けてきたが1971年にバーレーンの独立時、首都として指定された。
マフムード・アッバース/Mahmud ‘Abbas <人物>
パレスチナ暫定自治区における第2代目大統領。少年時代にイスラエル建国の影響で難民となり、シリア、エジプトで高等教育を受けた後、ソ連に渡って大学院教育を修了した。その後はパレスチナ解放運動に参加し、ファタハ結成に参与、幹部として活動する事になった。1960年ほどから約20年以上に渡ってヤーセル・アラファートと行動を共にするようになり、1993年のオスロ合意の時点でも同行している。 その後は自治政府内で自治区の運営を行う中心的な人物となったが、平和プロセスが行き詰っていた2000年より行われたインティファーダにおいては、ハマス系のテロ活動が続発するがアラファートなどパレスチナ暫定自治区主要メンバーが中途半端な対応を取る中、アッバースは断固としてテロ活動を非難した。後に、首相となって内閣を設立するが1ヵ月後にアラファートとの対立が起因して辞任。アラファートが体調不良によって療養先のフランスで亡くなると自治政府大統領選挙にて大統領に就任し、名実共にパレスチナの代表者となった。現在はテロ活動を抑制する中、イスラエルとの対話を進めている。
ミイラ/Mirra <用語>
ミイラとは、人工的もしくは自然的条件の整った環境で乾燥し、長期間保存可能となった死体の一形態をいう。その他には死蝋(しろう)と呼ばれる死体の保存方法があり、これはミイラとは逆に湿潤低温の場所で作成される。 ミイラは古代から神秘的なものとされ、死者を後世に残すための目的で作成された。特にエジプトのミイラは有名で、死者の心臓以外の臓器をカノポス容器に入れて保存し、脳を取り出した後にナトリウムなどで全身を覆って水分を抜く。その後防腐処理を施して包帯巻きにして安置するという方法である。ミイラから包帯を連想するのはこのエジプトのミイラのためである。 その他にも日本や、中国でミイラは生成され、こちらは生きたまま座り、お経を読みながら息絶えるという方法で、即身仏と呼ばれる。日本では山形県庄内地方に多く存在している事で有名である。他に、ミイラは漢方薬として高い効果が期待されるため、古来より珍重されてきた。薬としてのミイラは昔から日本にも多く輸入されていた形跡が見られる。
ミケーネ文明/Mycenae <用語>
エーゲ文明のうち、ペロポネソス半島を中心に栄えた青銅器文明である。青銅器文明とはいえ、アガメムノンの黄金の仮面が発見されるなど、黄金を用いた遺物も発見されているため豊かな経済が営まれていることがわかる。 同時期に発展していたと考えられる文明の開放的な建築物とは異なり、ミケーネ文明の建築物は閉塞的で城壁に囲まれているのが特徴であった。後のポリスの政治体制とは異なって、王が農民から作物や家畜を貢納させていた。役人なども存在して文明を支えていたが、エジプトやメソポタミアの文明ほどには政治機構の整備は進まなかったと考えられる。
南イタリア/South Italy <用語>
イタリアを北部、中部、南部の3分割した時に使われる用語。時としては南北に二分したときにも使用されるが主には前者の意味合いとして利用される。厳密にどの地域が南イタリアであると定義されているわけではないが旧両シチリア王国領土を含む南部の州がそれにあたる。北部の地域とは異なって歴史的に、一つの王国が統一していた時期が長かったために政府に反抗する勢力が存在する事になった。その一部は現在もマフィアとして活動を続ける事になった。
ミレトス/Miletus <遺跡>
アナトリア半島の西海岸、メンデレス川河口付近にあった町であり、古来から人が住んでいたとされている。紀元前5世紀初頭にはイオニアの反乱が起こったときにペルシアによって鎮圧されたが、後にアレクサンドロス大王によって解放された。その後最終的にはトルコ人によって支配され、港として利用されていたが泥によって港が塞がれたのをきっかけにしてミレトスは放棄された。現在は海から10kmほど離れた内陸に位置している。
民衆文字/People letter <用語>
ヒエログリフ、ヒエラティックを簡略化させて作られた民衆用の文字で、デモティックの事。
民主主義/Democracy <用語>
個人の意見を尊重した上で、それぞれの意見を統合し、多数決によって方針を定める政治方法。一般的な多数決とは違い、初めに意見交換が相互になされて問題の正当性などが認識される。その後に多数決をとり方針を決定する方法が一般的である。個人の権利である、自由・参政・平等などを尊重した政治体制である。古代ギリシャなどでは民主主義の原点とも言える政治体制が敷かれていたことで有名である。
ムアーウィヤ/Mu awiya <人物>
イスラム教5人目のカリフでムアーウィヤ1世とも言う。ウマイヤ朝初代カリフでもある。クライシュ族の名門から生まれたムアーウィヤは初代カリフであるアブー・バクルによって兄と共にシリア制圧を命じられて出陣した。兄が死ぬと2代目カリフのウマルによってシリアの総督に任命され、ロードス島、キプロス島を占拠してシリアに確固たる地位を築き上げた。その後に3代目カリフとしてムアーウィヤの従兄弟にあたるウスマーンが、4代目カリフとなるアリー・ファーティマによって暗殺されると、復讐を誓い、対立するようになる。その後スィッフィーンの戦いなどでアリー・ファーティマと争い、次第に領土を拡大していく中で、アリー・ファーティマはハワーリジュ派によって暗殺され、ムアーウィヤが5代目カリフに就任することとなった。その後、本拠地であるシリアのダマスカスを首都に定めてウマイヤ朝を開いた。
ムーセイオン <施設>
プトレマイオス2世によってアレクサンドリア図書館に併設された学士院で、現在の博物館の原型を作った施設とされている。
ムスリマ/Muslima <用語>
ムスリムの女性形。外国語上では区別されずにムスリムと呼ばれる事が多い。
ムスリム/Muslim <用語>
「神に帰依する者」を意味するアラビア語であり、イスラム教を信じる人こと。女性形はムスリマだが、外国語上では区別しないこともあり、古くはモスレムと書くこともあった。ムスリムになるためには、証人となるムスリムの前で信仰告白の手続きを取ることが必要である。ムスリムは五行を実践し、日々アッラーを身近に感じられるように祈りをささげる事で有名である。
ムスリム同胞団/Moslem Brotherhood <用語>
1928年に「イスラムのために奉仕するムスリムの同胞たち」として結成され、1940年代に隆盛したエジプトにおけるイスラム原理主義組織。しかし、ナーセルの政権下において弾圧され、多くの指導者が投獄、処刑されるなどした。その中でも西洋化を否定した過激派のサイイド・クトゥブの思想は後のイスラム過激派の思想の原点となった。 エジプトでは宗教政党は禁止されているので多くのムスリム同胞団に所属している政治家は無所属で選挙に立候補してきたが、それでも多くは弾圧されるなどしてきた。そのような状況下でムスリム同胞団からはジハード団やイスラム集団などの少数過激派が誕生してしまう結果となる。その後2005年のアメリカが中東に対して民主化を要求した事によって、エジプトの大統領であるホスニー・ムバーラクはムスリム同胞団員の立候補を弾圧しなかったためにエジプト政治上では事実上の最大野党となった。またムスリム同胞団は世俗的ではないイスラム法にのっとったイスラム社会の確立を目標にしている。
ムハンマド・アリー/Muhammad Ali <人物>
オスマン帝国の属州エジプトの支配者で、ムハンマド・アリー朝の創始者。オスマン帝国>のエジプト総督ながらエジプトに半独立政権を樹立し、専制支配のもとで富国強兵政策を強行。宗教や国を越えた政治手腕で近代エジプトの基礎を築いた。
ムハンマド・イブン・アブドゥッラーフ <人物>
イスラム教の創始者。イスラム教では、モーセ、イエス・キリストに続く最後にして最高の預言者とみなされている。全名はムハンマド・イブン=アブドゥッラーフ・イブン=アブドゥルムッタリブという。かつて日本ではモハメッド、マホメットなどと呼ばれることが多かったが、近年では標準アラビア語(フスハー)の発音に近い「ムハンマド」に表記・発音がされる傾向がある。
ムハンマド・ナギーブ <人物>
エジプト・アラブ共和国の初代大統領。ガマール・アブドゥル・ナーセルと共に、自由将校団を指揮してエジプトの王政を廃止し、共和制国家へと導いた。しかし、大統領に就任してからは共に戦ってきたナーセルとの対立が表面化し、ナギーブを支持していたムスリム同報団のナーセル暗殺未遂を経て、大統領を解任された。
メーメル川/Memel <川>
ベラルーシから始まってロシア、リトアニアを流れ一部は国境に指定されている。非常にゆったりとした流れで川幅は最大で500m、長さは937kmあるとされている。バルト海の一部であるクルシュ海に注いでおり、リトアニア人からは父なる川と呼ばれて親しまれている。
メシア信仰/Messianism <用語>
ユダヤ教を主にして、キリスト教、イスラム教などにも見られる信仰思想である。メシアはダビデの子孫から生まれ、王国を回復して世界に平和をもたらすものとされるものである。
メネス頭巾/Menes <道具>
メネス頭巾は一般にツタンカーメンのかぶっているもので知られています。しかし、ツタンカーメンに限らずオシリスやスフィンクスといった神々、神聖を帯びた人物がかぶることを許されたものでした。いかに高位な神官と言えどメネス頭巾をかぶることは禁じられ、人間では唯一ファラオのみがかぶることが出来たものでした。
メリアムン・セテプエンラー/Meriamun Setepenra <人物>
アレクサンドロス大王がエジプトに入ったときに、アメンの子として認められて名づけられたファラオ名。
綿花/Cotton <用語>
エジプトで多様に生産されている。綿花の歴史は古く、B.Cには既に南アフリカやインドなどで使用されていた。ヨーロッパ諸地域にも伝播していたが、以前は生産量が少なく用いられる事は少なかった。
メンカウラー/Menkaura <人物>
父はカフラー、子にはシェプルセスカフ。ギザに建造されたピラミッドのうち最も小さいピラミッドを建造した。その周辺には妻のピラミッドなど小さいものが数点建造されている。財政的な困難からピラミッドの規模が縮小したといわれているが、メンカウラーのピラミッドも高価な花崗岩が使用されていたことや、数多くの衛星ピラミッドを建造したことを考えると、ギザの台地に巨大なピラミッドを建設するだけの面積がなかったのではないかという説もある。ただし、ギザに建設されたピラミッドの完成を見る前にメンカウラーーはこの世を去ってしまったと考えられている。
モスレム/Moslem <用語>
古来、ムスリムを意味していた言葉。現在では使用される事はなく、記録として残っているのみである。